いじめ総合対策【第3次】下巻_2025_2版
122/124

 多様な価値観をもつ人と出会い、関わり、ときにはぶつかり、高め合えるからこそ、私たちは幸福な人生を切り拓き、よりよい社会と、豊かな未来を築くことができるのです。何よりも、違った考えや価値観をもつ者同士が理解し合うこと、これこそ、人間だからできることなのです。おわりに ~いじめ問題の解決の先に~都立高等学校 人間としての在り方生き方に関する教科「人間と社会」(改訂版教科書)95 ページより令和3年3月 東京都教育委員会「いじめは、いつでも、どの学校にもどの子供にも起こり得る。」確かにそのとおりである。しかし、教育は、日々子供を成長させる。昨日、相手の悪口を言っていた子供が、今日は、その友達の良いところに気付くことがある。昨年、かっとなっては暴力を振るってばかりいた子供が、今年は、友達に笑顔を向けながら温かい言葉を掛けられるようになることもある。だから、教師は、いつも子供たちの限りない可能性を信じて、熱い思いを伝えるのだ。ある学級担任が、普段は元気な子供がうつむいていることに気付き、さりげなく「今日は、いつものあなたらしくないけれど、どうしたの。」と声を掛けた。その子供は、目にうっすらと涙を浮かべながら、自分が友達を傷付けてしまったことを話し始めた。ある学校では、学年担当の教師たちが、SNSのやり取りでトラブルを抱えてしまった子供たちを呼んで、様々な悩みについて正直に語らせた。気が付くと、子供たちは、互いにどのようなことに気を付ければよいのかを真剣に話し合っていた。子供を大切に思う教師の気持ちを、言葉に出してまっすぐに、子供たちへ直接伝えてほしい。その思いが子供たちの心に届いたとき、子供たち自身が、互いに大切にし合う集団を作ろうとするようになるだろう。そして、全ての子供が、そうしようとしている自分に気付いたとき、いじめは、きっとなくなるに違いない。そのために、教師も日々学び続けていく必要がある。高校段階を終えて、東京都の公立学校から巣立つ子供たちに伝えたいメッセージをここに記して、「いじめ総合対策【第3次】」の締めくくりとする。120「これからのあなた、   あなた自身は何を大切にして、どのように生き、    そしてどのようにして幸せな世の中にしていきますか。」

元のページ  ../index.html#122

このブックを見る