いじめ総合対策【第3次】下巻_2025_2版
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ひ ら3131教材文生徒指導の実践上の視点第3部第3部いじめをしない、させない、許さないための意識の醸成互いの個性の理解規範意識の醸成保護者プログラム望ましい人間関係の構築いじめ問題への対応事例教員研修プログラム地域プログラムいじめをしない、させない、許さないための意識の醸成あなた自身は何を大切にして、どのように生き、そしてどのようにして幸せな世の中にしていきますか。」「これからのあなた、(1) 自己存在感の感受 幸せな世の中にしていくために、自分に何ができるか考えたことを友達に伝え、その考えが認められるようにする。(2) 共感的な人間関係の育成 自分と異なる思いや考え、価値観を大切にし、互いに理解しようとする。(3) 自己決定の場の提供 それぞれの「幸せ」を踏まえ、幸せな世の中にしていくために、「自分に何ができるか」を考え、伝える場を設定する。(4) 安全・安心な風土の醸成 一人一人が考えたこと大切にしながら話合いを進めるよう確認し、生徒が安心して学習に取り組むことができるようにする。御手洗瑞子『ブータン、これでいいのだ』新潮社 p213※GNHコミッション:国民総幸福量(Gross National Happiness)委員会○「人間と社会」90 ページ 幸せの国と呼ばれるブータン王国は、国民総幸福量を、国民総生産(GNP)よりも大切な国家理念としています。筆者の御手洗瑞子氏は 2010 年9月から1年間、※GNHコミッション首相フェロー第1号として、主に観光産業の育成に努めました。 (GNHコミッションの長官である上司の話)  「幸せになろうと思ったらね、自分の幸せを願ってはいけないんだ。自分の幸せを探し出したら、どんどん、幸せから遠ざかってしまうよ」そして、こう続けました。  「これはとても大切なことなんだ。幸せを願うのであったら、自分の幸せではなく、周囲の人の幸せを願わなくてはいけない。家族だとか、友人だとか、自分の身近な大切な人たち。そして周りの人たちが幸せでいられるように、できる限りのことをするんだ。知ってるかい?人のために何か役に立つことをして、相手が幸せになるのを見ると、自分にもとても大きな満足感が返ってくるんだよ。それは、自分のためになにかしたときより、ずっと大きな満足感なんだ。幸せになりたかったら、まず、周りの人の幸せを願って、そのためになにかすることが大切なんだ。自分の幸せを探し出したら、幸せは、みつからないんだよ。ブータン人は、それをみんなよくわかっている」○「人間と社会」92 ページ 教室ではブータンの話に関するペアワークが終わったばかり、次に「どのように幸せな世の中にしていく」のかということについての話合いが続いています。Aさん: 幸せの国日本に住む私としては、やっぱり、家族第一、次に友達かな、好きな人は、もしかしたら将来の家族ということで、家族一番!…(笑)      まず、周りの人とのつながり、結び付きを大切にして、身近な人を幸せにしていきたい。自分の周りの人が幸せじゃないのに、「幸せな世の中にしていく」なんて無理でしょ!だから私は…Bさん: 私は、この日本で実現可能なことといったら、職業を通じて幸せな世の中に貢献することだと思っている。どんな職業でも人を幸せにできるはず。起業して成功すれば、寄付とかもたくさんできるしね。そうなりたいから、まず私としては…Cさん: わあ、起業なんてカッッコイイ!私はね、「幸せな世の中」って、人の笑顔があふれている世の中だと思う。笑顔って見ているだけで、幸せな気持ちになれるじゃない。だから、ずっと、周りの人と一緒に笑っていられたらいいな、と思う。そのためにも、私は…Dさん: みんなの意見を聞いて、人の価値観ってつくづく違うと思ったから「幸せ」の感じ方もいろいろだと思う。人それぞれが何を望むか分からないのに、「幸せな世の中にしていく」っていうのは、ちょっと上から目線で偉そうな気がする。幸せにできるのはその人自身しかないと思うから。まずは自分自身が幸せになること、そうすれば、つまりは全員幸せになれるわけでしょう。だから、自分としては…○「人間と社会」95 ページ これから、あなたは様々な人と出会うことでしょう。考え方の違いに戸惑いを感じたり、分かり合えなくて悲しい思いをしたりすることもあるでしょう。そのようなときは、この教科で学んだことを思い出してみてください。一人一人の考えが違うのは当たり前のことです。家族や親友であっても全く同じ意見の人はいません。 しかし、お互いが理解することを諦めなければ、互いの心に橋を架け合うことができるはずです。どうか、互いに理解することを諦めないでください。多様な価値観をもつ人と出会い、関わり、ときにはぶつかり、高め合えるからこそ、私たちは幸福な人生を切り拓き、よりよい社会と、豊かな未来を築くことができるのです。何よりも、違った考えや価値観をもつ者同士が理解し合うこと、これこそ、人間だからできることなのです。◆ケーススタディ~あなたならどうする? 次の場面で、あなたは、どんな選択をしますか。それはどのような理由によるものですか。

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