2(令和6年度 東京都研究開発委員会「いじめの理解啓発委員会」)自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。 東京都教育委員会では、令和6年度教育研究開発委員会で、「いじめ理解啓発委員会」を発足し、「自己指導能力を育成する発達指示的生徒指導〜いじめの未然防止に向けて」という研究主題のもと、生徒指導提要(文部科学省令和4年 12 月)の基本的な方向性に即して、都内公立学校における、いじめの未然防止に向けた実践プログラムの研究・開発を行い、その効果を検証した。本巻では、児童・生徒一人一人が自己指導能力を身に付けるために必要な「生徒指導の実践上の視点」を各事例の中で示した。以下、( )内のページは、生徒指導提要(文部科学省 令和4年 12 月)を指す。生徒指導の定義: 生徒指導とは、児童・生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、生徒指導の目的: 生徒指導は、児童・生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支えることを目的とする。 生徒指導の目的を達成するためには、児童生徒一人一人が自己指導能力を身に付けることが重要です。児童生徒が、深い自己理解に基づき、「何をしたいのか」、「何をするべきか」、主体的に問題や課題を発見し、自己の目標を選択・設定して、この目標の達成のため、自発的、自律的、かつ、他者の主体性を尊重しながら、自らの行動を決断し、実行する力、すなわち、「自己指導能力」を獲得することが目指されます。 発達支持的生徒指導は、特定の課題を意識することなく、全ての児童生徒を対象に、学校の教育目標の実現に向けて、教育課程内外の全ての教育活動において進められる生徒指導の基盤となるものです。 発達支持的生徒指導では、日々の教職員の児童生徒への挨拶、声かけ、励まし、賞賛、対話、及び、授業や行事等を通した個と集団への働きかけが大切になります。 全ての児童・生徒を対象とした常態的・先行的 ( プロアクティブ ) な生徒指導として、教育活動のあらゆる場面で、これらの視点を取り入れながら児童・生徒の成長・発達を支えていくことが求められる。生徒指導の目的を達成するためには、児童・生徒一人一人が自己指導能力を身に付けることが重要となります。 自他の個性を尊重し、相手の立場に立って考え、行動できる相互扶助的で共感的な人間関係をいかに早期に創りあげるかが重要となります。(P14 1.1.2 生徒指導の実践上の視点 (2) 共感的な人間関係の育成) 児童生徒が自己指導能力を獲得するには、授業場面で自らの意見を述べる、観察・実験・調べ学習等を通じて自己の仮説を検証してレポートする等、自ら考え、選択し、決定する、あるいは発表する、制作する等の体験が何より重要です。(P15 1.1.2 生徒指導の実践上の視点 (3) 自己決定の場の提供) 学校生活のあらゆる場面で、「自分も一人の人間として大切にされている」という自己存在感を、児童生徒が実感することが大切です。また、ありのままの自分を肯定的に捉える自己肯定感や、他者のために役立った、認められたという自己有用感を育むことも極めて重要です。(P14 1.1.2 生 徒 指 導 の 実 践 上 の 視 点 (1) 自己存在感の感受) お互いの個性や多様性を認め合い、安心して授業や学校生活が送れるような風土を、教職員の支援の下で児童生徒自らがつくり上げるようにすることが大切です。(P15 1.1.2 生徒指導の実践上の視点 (4) 安全・安心な風土の醸成)(P13 第1章生徒指導の基礎)(P20 1.2.2 発達支持的生徒指導 )「児童・生徒一人一人が自己指導能力を身に付けるための視点」
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