いじめ総合対策【第3次】下巻_2025_2版
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4343◆ケーススタディ~あなたならどうする?教材文生徒指導の実践上の視点第3部第3部いじめをしない、させない、許さないための意識の醸成互いの個性の理解規範意識の醸成保護者プログラム望ましい人間関係の構築いじめ問題への対応事例教員研修プログラム地域プログラム互いの個性の理解○「人間と社会」62 ページ 「2 地域社会を築くために大切な考えについて議論する」 今まで私たちは、公共というと役所がやることで、社会のためになることは原則として役所がやればいい、と考えがちでした。役所のほうも、住民から要望があると何でも引き受けてしまう体制が長い間続いてきました。しかし、それが限界にきているのです。まずは、どこの自治体にもお金がなくて、住民の要望には全部はこたえられない。また、役場が頑張っていろんな事業をやっても、そのサービスに対して住民の方がなかなか満足してくれなくなった。なぜなら、役所としてはなるべく住民に一律のサービスを提供したいのに対して、住民の方は、私の生活をこういうふうに改善してほしいというオーダーメードのサービスを求めるからです。さらに大きな問題は、役所に色んな問題の解決をお願いしているうちに、地域の側に問題を解決する能力がどんどん失われてきているということです。例えば、隣の家のピアノの音がうるさいといったら、ちょっと前であれば近所で話し合って決めればよかったんですが、最近はそういうときは市役所か警察に電話ですよね。そうなれば、次に問題が起こったときには、自力で問題を解決できるはずがありません。そうすると、さらに行政に頼る。そうしてさらに地域の問題解決能力が無くなる、という悪循環が起きているわけです。○「人間と社会」63 ページ 次の場面で、あなたはどのような選択をしますか。 あなたは、27 歳で流通業の会社に勤めています。勤務は、三交替制のため、新居は仕事場の近くの新興住宅地を選び、3年が経ちました。この地域の自治会では、年1回お祭りを開催していますが、お祭りの参加者が年々減り、昨年から自治会では廃止も検討しているようです。そんなときに自治会の役員の順番が回ってきました。第1回の会合に参加したところ、議題は「お祭りの廃止」でした。議論はやがてお祭りの廃止から自治会の在り方になり、次のようなやり取りがありました。あなたはどのように考えたらよいのか迷っています。役員A:  自治会の役割の一つは、困ったときに互いに助け合うことだから、会員同士の親睦を深める活動が一番重要である。役員B:  自治会はいろいろなことをやりすぎている。本当に必要なニーズを探してそれに専念すべきだ。役員C:  会員はみな忙しく、自分の身の回りの出来事は自己責任だから、もっと現実を直視して、自治会の解散も考えるべきである。役員D:  高齢化などもあり、これからの自治会は、新規で高齢者の見守り活動を行うなど、更に活動を充実させなくてはならい。(1) 自己存在感の感受 傾聴の姿勢や相手の気持ちに寄り添いながら話し合うことを通して自尊感情が高まるように促す。(2) 共感的な人間関係の育成 自分と異なる思いや考え、価値観を大切にし、互いに理解しようとする。(3) 自己決定の場の提供 「ケーススタディ」等を通じて自分の意見をまとめさせ、それを発表する場を設定する。(4) 安全・安心な風土の醸成 一人一人が考えたことを大切にしながら話合いを進めるよう確認し、困ったり悩みがあるときに弱音を吐いたり、人に頼ったりすることができる雰囲気を醸成する。(「参加と協働を通じた地域づくり~ NPO に学ぶ活動活性化のヒント~」青森大学社会学部准教授(現教授)柏谷至より抜粋 平成 23 年度協会フォーラム講演録「地域活動」公益財団法人明るい選挙推進協会

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