いじめ総合対策【第3次】下巻_2025_2版
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き第4部いじめをしない、させない、許さないための意識の醸成互いの個性の理解規範意識の醸成保護者プログラム望ましい人間関係の構築いじめ問題への対応事例教員研修プログラム地域プログラム教員研修プログラム79◆ 教職員による重大事態の定義の確実な理解 学校の組織的対応にもかかわらず、重大事態に至ってしまう事案も起こり得ます。そのために、全ての教職員が、日頃から、いじめ防止対策推進法に規定されている重大事態の定義を正しく理解していることが求められます。その上で、重大事態が発生した場合には、法に基づく調査の実施と関係者間の緊密な連携による迅速かつ適切な対応が必要となります。いじめの解消に向けた組織的な指導体制の例【いじめ防止対策推進法】第 28 条第1項 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。一  いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。二  いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。 児童・生徒や保護者から、「金銭をとられた。」、「暴力を受けた。」、「いじめにより学校に行けなくなった。」などの申立てがあったときは、必ず重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たります。・ 学校は、被害の子供・加害の子供・周囲の子供に対して、専門的な支援や指導が必要な場合は、速やかに「学校サポートチーム」を招集し、役割分担をして、問題の解決に向けての対応を図ります。また、PTAや地域住民等が、被害の子供・加害の子供・周囲の子供の保護者に働き掛けることに効果があると考えられる場合には、PTA役員を招集したり、学校運営協議会を開催したりして、協力を依頼します。社会全体でいじめ問題の解決を図る視点から、必要に応じて、民生・児童委員など広く地域住民と情報を共有することが大切です。・ 暴力を伴ういじめなど、犯罪行為として取り扱われるべきであると考えられる事案については、然とした態度で指導を行い教職員が、所轄警察署や児童相談所等と連携し、加害の子供に対して毅ます。特に、学校で指導を行っているにもかかわらず、加害の子供の反省が見られない場合など、被害の子供の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあると考える事案については、ためらうことなく直ちに、所轄警察署に通報し、援助を求めます。・ 被害の子供や加害の子供の保護者が、自分の子供の指導に悩んだり、指導することが困難になったりしている場合などには、スクールソーシャルワーカー等の協力を得て、保護者に対して心理的な面や福祉的な面からの支援を行います。 いじめへの対応に当たっては、「仲直りした。」、「謝罪した。」、「楽しそうに会話する姿が見られるようになった。」など、表面的かつ安易な判断により、いじめが解消したとして、被害の子供への対応を終えてしまうことがあってはなりません。当該児童・生徒の様子や心情を確実に把握し、安心して生活を送ることができるようになるまで支援を継続し、状況を「学校いじめ対策委員会」に報告します。いじめが解消されたかどうかについては、教職員個人が行うのではなく、「学校いじめ対策委員会」が児童・生徒の状況等を総合的に検討した上で、校長が判断します。また、日頃から全ての教職員による学校教育相談体制の充実を図ることが重要です。④ いじめの解消に向けた対応・指導⑤ 事後対応研修に当たっての確認事項一人で抱え込まず、「組織」として対応する

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