いじめ総合対策【第3次】下巻_2025_2版
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第4部いじめをしない、させない、許さないための意識の醸成互いの個性の理解規範意識の醸成保護者プログラム望ましい人間関係の構築いじめ問題への対応事例教員研修プログラム地域プログラム教員研修プログラム81・  個に応じた指導の工夫などにより、児童・生徒が学びの中で充実感、成就感を得ることができる教育活動を展開する。・ 学校行事や生徒会活動、係活動などにおいて、児童・生徒の自発的・自治的な活動を尊重する。どに応じた役割を分担する。・  道徳科や特別活動の指導において、自らの生活や生き方について考える機会を十分にとり、人間としての生き方についての自覚を深めさせ、集団や社会の中で自己を生かす能力を養う。・  互いに協力して目的を達成する活動を通して、自信を深めたり、他者とすすんで関わりをもったりすることができるよう指導に当たる。 国立教育政策研究所「いじめ追跡調査 2019 - 2022」によれば、「暴力を伴ういじめ」 の加害経験率は、おおむね被害経験率と同じ傾向となっています。児童・生徒は、いじめられた経験と同時にいじめた経験をもっており、いじめの被害及び加害は特定の児童・生徒に偏ってはいません。多くの児童・生徒はいじめられる、いじめるといった立場を入れ替わりながらいじめに巻き込まれている実態があります。 したがって、全ての児童・生徒を対象とした未然防止の取組を進め、集団全体にいじめを許容しない雰囲気の形成、いじめに向かわない学級・学校づくりを考えていくことが重要です。◆東京都教育委員会では「自尊感情」や「自己肯定感」を次のように定義しています。〇「自尊感情」とは 自分のできることできないことなど全ての要素を包括した意味での「自分」を、他者との関わり合いを通して掛け替えのない存在、価値ある存在として捉える気持ち〇「自己肯定感」とは 自分に対する評価を行う際に、自分の良さを肯定的に認める感情 「自尊感情」 や「自己肯定感」を高めるためには、思い付きで幼児・児童・生徒を指導しているということでは、効果は期待できません。幼児・児童・生徒が成長する見通しをもって、励まし、認めるような働き掛けを行うとともに、幼児・児童・生徒が互いに認め合えるような意識を育み、互いに認め合える環境を作っていくことが、教師に求められます。◆ 「心の居場所づくり」を意識した取組を行う上での留意点・  一人一人を大切にすることを基本に置き、教職員と子供、子供同士の好ましい人間関係を育む。  また、適切な対応や許してはならない行為等の意見交換の場を大切にしながら教職員間の共通理解を図る。◆ 「きずなづくり」を意識した取組を行う上での留意点・  児童・生徒に活動の意義や目的について十分理解させるとともに、子供の能力、適性、興味な自己肯定感や自尊感情を育む学級づくり参考:東京都教職員研修センター「自信 やる気 確かな自我を育てるために【発展編】」平成 24 年3月参考:国立教育政策研究所「絆づくりと居場所づくり」平成 24 年3月国立教育政策研究所「いじめの未然防止Ⅰ・Ⅱ」平成 24 年9月   東京都教育委員会いじめ問題対策委員会「東京都内公立学校におけるいじめ防止に係る取組の推進状況の検証、評価及びいじめ防止等の対策を一層推進するための方策について」令和2年7月 31 日研修に当たっての確認事項いじめが起きにくい学級環境・学校環境 児童・生徒が、安心・安全に過ごすことができる学級や学校にしていくこと(居場所づくり)が、いじめの未然防止の第1段階です。また、思いやりや規範意識、相手や周りを気遣う態度、他者や集団との関わりを大切にしたいという意欲を育むことも大切です。こうした気持ちを児童・生徒に育んでおかなければ、知識を与えただけ、技能を訓練しただけにとどまり、いじめの未然防止にはつながりません。児童・生徒自らが、実際に他者と関わり合う中で、より良い生活を築いていこうとする思いをもつ場や機会を提供していくこと(きずなづくりのための場づくり)が、いじめの未然防止の第2段階です。

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