いじめ総合対策【第3次】下巻_2025_2版
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 定期的な支援会議を通して、学校と家庭、関係機関等による「学校生活支援シート」に基づいて、支援の役割分担や今後の方針等について話し合った。様々な観点から情報交換することにより、適切な指導や支援を行うことができた。※ 「学校生活支援シート」とは、本人や保護者の希望を踏まえて、教育、保健・医療、福祉等が連携して、児童・生徒を支援していく長期計画のこと(平成 26 年 東京都教育委員会 「これからの個別の教育支援計画」より)。96対応方針の決定児童Aの支援体制づくりと、関係機関等との連携学級の児童 への指導学級の保護者 への説明「学校生活支援シート」を活用した関係諸機関等との連携児童に対する正しい理解 この事例は、周囲が児童Aの特性を理解しないまま学年が上がり、いじめへとつながったものである。まず、自分のことを理解してもらえず、必要な支援を受けることができなかった児童Aのこれまでのつらさや苦しさについて全ての児童が理解できるようにすることに努めた。少しずつ児童A自身の行動に落ち着きが見られ、ほかの児童も児童Aの特性に配慮できるようになった。保護者への綿密な報告 保護者から悩みや要望を聞き、その思いを受け止めることに努めた。その上で、いかなるときも、全力でAを守り抜くことを保護者に伝えたことにより、信頼関係を築くことができた。教職員は、児童Aの行動面だけに着目して対応することがないよう、その背景を踏まえて指導に当たったことが問題の解決につながった。取組の経過概要事例が解決に至ったポイント第4部いじめをしない、させない、許さないための意識の醸成互いの個性の理解規範意識の醸成保護者プログラム望ましい人間関係の構築いじめ問題への対応事例教員研修プログラム地域プログラム教員研修プログラム・ 保護者からの電話後、「学校いじめ対策委員会」による協議を行い今後の方針を検討した。・ 児童Aの保護者と面談し、信頼の回復に努めるとともに、専門医の助言を受けることを進めることとした。・ 担任は児童Aと話し合い、日頃の思いを受け止めることとした。・ 学年が一体となり、学級集団への指導に当たることとした。・ スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーターと連携して、児童Aのサポートを行うこととした。・ 児童Aが医療機関で診察を受けるとともに、学校は必要に応じて医療機関と連携して指導に当たっていくことについて保護者から了解を得た。・ 学校は、児童Aの「学校生活支援シート」を作成するとともに、児童Aについて全教職員に周知し、サポートできる体制を確認した。・ 担任は、児童Aに、嫌なことや困ったことがあったらすぐに担任に相談に来るよう話すとともに、学校は必ず児童Aを守ると伝えた。・ 担任は、学級の児童に対して、いかなる理由があっても、いじめは絶対に許されない行為であることを指導した。・ いじめを受けて心が傷付いた児童Aの気持ちを考えさせた。・ 道徳科や学級活動を通して、「思いやり」や「個性(自分らしさとその人らしさ)」について話し合う時間を設定した。・ 担任は、児童Aの保護者の了解を得て、保護者会で学級の中で児童Aを避けたり疎外したりする行為が見られていることを伝えた。・ その上で、今後の学校の指導方針を説明し、学校の指導等について協力を求めた。

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