1東京都は、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的として、平成26年6月に「東京都いじめ防止対策推進条例(以下「条例」という。)」を制定するとともに、同年7月に、「東京都いじめ防止対策推進基本方針」及び「東京都教育委員会いじめ総合対策(以下「いじめ総合対策」という。)」を策定し、平成29年2月に「いじめ総合対策【第2次】」を策定しました。これらを踏まえ、これまで東京都教育委員会と区市町村教育委員会との緊密な連携の下、東京都内全ての公立学校において、校長をはじめとした教職員と保護者、地域住民、関係機関等が一体となり、組織的にいじめ防止等のための取組を推進してきました。いじめは、子供の生命や心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼす問題であることから、学校におけるいじめ防止のための対策が形骸化することのないよう、その取組状況について、不断に検証し改善を図っていくことが不可欠です。そのため、東京都教育委員会は、条例に基づき設置された附属機関である「第5期東京都教育委員会いじめ問題対策委員会」に対して、平成30年11月、「いじめ総合対策【第2次・一部改定】」に示された取組の推進状況の検証、評価及びいじめの防止等の対策を一層推進するための方策について諮問しました。令和6年7月に、同委員会からこの諮問に対する答申を得たところです。この答申では、子供たち自身がいじめについて考え行動できるようにするための取組、教職員が軽微ないじめも積極的に認知することができるような取組、専門家の力を活用したいじめ防止対策の推進の実績が評価されました。一方で、学校いじめ対策委員会を実効性のある組織にするとともに、重大事態やその疑いがあったときの対応、教育委員会との連携等を見直すこと、教員の保護者対応のスキルの向上、各校における事例研究など、効果的な研修内容について検討すること、いじめに関する授業を意図的・計画的に実施していくことができるような手だてを検討していくこと等について、今後、更に取組の改善を図っていくことの必要性が示されました。こうした検証・評価を基に、いじめ防止対策の一層の推進に向けて、東京都教育委員会が取り組むべき事項として、「発達支持的生徒指導の趣旨にのっとったいじめ防止等の取組の推進」、「発達の段階に応じたいじめ防止等の具体的取組に係る検討及び共有」、「教職員の意識啓発及び対応力等の向上」、「子供自身がいじめ問題の理解を深め、自ら考えて行動できるようにするための取組の充実」などの6点が挙げられています。この冊子は、上記の答申等を踏まえて、策定したものです。各学校においては、令和7年7月から、この「いじめ総合対策【第3次】」に基づき、改めて、いじめ防止等の取組の強化・徹底を図っていくことになります。この「いじめ総合対策【第3次】」を真に実効性のあるものにしていくのは、各学校における日々の実践と、教職員一人一人の子供に対する熱意にほかなりません。東京都教育委員会は、今後とも、全ての公立学校、全ての教職員の真□な取組を、全力で応援してまいります。令和7年6月(1)発達支持的生徒指導の趣旨にのっとったいじめ防止等の取組の推進(2)発達の段階に応じたいじめ防止等の具体的取組に係る検討及び共有(3)教職員の意識啓発及び対応力等の向上(4)子供自身がいじめ問題の理解を深め、自ら考えて行動できるようにするための取組の充実(5)専門家等の知見を活用したいじめ防止対策及び早期解決への取組の推進(6)いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する重大事態への対応力の向上第5期東京都教育委員会いじめ問題対策委員会 答申(令和6年7月31日)東京都教育委員会いじめ防止等の対策を一層推進するための方策についてはじめに
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