早 期 発 見第1部未 然 防 止早 期 対 応重大事態への対処 47文部省・文部科学省は、昭和 61 年度以来、「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」などにおいて、「いじめ」の定義を策定・変更してきた。その背景には、子供がいじめを苦にして自殺した事案が関わっている。報道により「いじめ」が大きな社会問題となるたびに、学校のいじめの捉え方の課題を踏まえて、その定義が広範囲なものに修正されてきたことが分かる。 学校は、二度といじめを苦にして自ら命を絶つような事案を起こさないために、「いじめ」の定義が変更されてきた経緯を正しく理解し、現行の定義に基づき、確実な認知に努める必要がある。 年度 ①自分より弱い者に対して一方的に、 ②身体的・心理的な攻撃を加え、 ③相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの。①自分より弱い者に対して一方的に、②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、③相手が深刻な苦痛を感じているもの なお、起こった場所は学校の内外を問わない。 また、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと。当該児童生徒が、 ①一定の人間関係のある者から、②心理的、物理的な攻撃を受けたことにより ③精神的な苦痛を感じているもの なお、起こった場所は学校の内外を問わない。 個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係のある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの。 なお、起こった場所は学校の内外を問わない。 ※ この規定では、加害の子供が主語となっているが、平成18 年からの定義である被害の子供の心情の側に立って定義されていると理解すべきである。昭和61年度から 平成6年度から 平成18年度から 平成25年度から 「いじめ」の定義 定義策定・変更のきっかけとなった事案 東京都中野区中学校2年生自殺愛知県西尾市中学校2年生自殺北海道滝川市小学校6年生自殺福岡県筑前町中学校2年生自殺滋賀県大津市中学校2年生自殺東京都品川区中学校1年生自殺「いじめ」の捉え方 (変遷) ◆ 加害の子供の行為の側に立って「いじめ」を規定 ○ 弱い者 に対し て一方的に(力関係の存在)○ 身体的・心理的な攻撃○ 被害の 子供が 深刻な苦痛を受けているもの○○ 学校の 内外を 問わないもの○ 「継続的に」を追加(行為の継続性) ○ 個々の「いじめ」の判断は、表面的・形式的に行うことなく、被害の子供の立場に立って行うことを追加○ 「学校が確認している」という要件を削除◆ 被害の子供の心情の側に立って「いじめ」を規定 ○ 一定の人間関係(「弱い者に対して」を変更) ○ 心理的・物理的な攻撃 ○ 精神的な苦痛 を感じているもの(「受けている」を「感じている」に変更、「深刻な」を削除○ 「継続的に」を削除○ 心理的 ・物理 的な影響(「攻撃」を変更)(いじめ防止対策推進法の施行に伴う) ● 「いじめ」の定義(文部省・文部科学省による)の変遷
元のページ ../index.html#49