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いじめられている友人がかわいそうで…。

昼の学校。

男子生徒たちが体育の授業でサッカーをしている。

ドリブルする、はじめ。

はじめ「こうた。いくぞ!」

その声に気が付く、こうた。

ボールを蹴る、はじめ。

ボールが高く上がる

ボールが、こうたの前に飛んでくる。

こうた、ヘディングしようとして失敗し、ボールに触れない。

前のめりに倒れる、こうた。

たける「あっはははは、うける!」 けんじ「なんだそれ! ははははは」

立ち上がろうとする、こうた。

笑顔を見せながら起き上がる、こうた。

たける「さすが笑顔くん、笑わせてくれるよ!」 けんじ「ミスしておいて笑ってられるって、幸せだよ!」

それを見ている女子生徒もヒソヒソ話をしながら笑っている。 女子生徒「今の見た? うける」 別の女子生徒「やばい ありえないよね ははははは」

こうたは悲しげな表情をみせる。

その様子を見ている、はじめ。

教室。

たけるとけんじがこうたの席を取り囲んでいる。 たける「よし!こうた、モノマネの時間だ。今日も楽しませてくれよ!」 けんじ「まずは18番の猿真似行こうか!」

こうた「あ……あの……」

たける「ん? どうした?」

こうた、笑顔のまま、うつむいている。

たける「なんだよ笑顔くん 今日は店じまいか」 けんじ「ちぇ 空気が読めないやつ」

たける「こうたは人を笑わせるしか取り柄がないじゃん。でこぴん」たける、こうたの額を指で弾く。

こうた、笑顔のまま。

こうた、笑顔のまま。たける「でこぴんされてまだ笑ってるよ」 けんじ「モノマネはまた今度やってくれよな」

その様子を見ている、はじめ。

読者の皆さんへの問いかけ「こんな時、あなたならどうしますか?」

放課後。帰り道で。

はじめ「こうた、ちょっといいか」

はじめ「あのさ、お前って、みんなのこと笑わせたいの?それとも笑われてるの?」

はじめ「毎日毎日笑われたり叩かれたり、本当は嫌なんじゃないの?もし嫌なら言ってくれよ」

はじめ「友達だろ?」

笑顔が消え、やがて涙を流しはじめる、こうた。

こうた「いやだよ……本当はすごくいやだよ……」

驚く、はじめ。

学校にて。向き合っている担任とはじめ。

担任「そんなことがあったのか。友達が傷つく姿を見るのは辛かったね。先生も気づいてあげられなくて申し訳ないよ」

はじめ「こうたのこと気づいてたけど、先生に相談したのがみんなにバレたら、僕も何をされるかわからなくてなかなか言えませんでした」

はじめ「先生、僕が相談したの、絶対に秘密にしてください」 担任「もちろんだ 約束する」

担任「君は勇気を出して行動したんだ。その勇気を無駄にはしないぞ。こうたのことも君のことも、先生たちみんなで守る」

ホッとする、はじめ。

担任「君はこうたくんの本当の友達だ」

うなづく、はじめ。

はじめの心の声「先生たちはすぐに会議を開き、こうた君の問題を解決するために全力を尽くしてくれました」

後日。肩を組んで学校からの帰り道を歩く、こうた、はじめ。

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